会社であいさつをする時によく使われる「ご苦労様です」や「お疲れ様です」は、使う相手によっては失礼にあたることも。
ここではご苦労様ですやその他の挨拶を使う時に適切なシーンなどを紹介していきます。
目次
「ご苦労様です」の意味
「ご苦労様です」の意味は以下のようなことが含まれています。
- 他人の苦労を敬っていう語
- 他人の骨折りをねぎらっていう語
- 他人の無駄な骨折りをあざけりの気持ちを含んでいう語
つまり、作業・業務などに従事した人へのねぎらいのための言葉として使われます。
日常生活では、荷物を届けてくれた配達員の方から荷物を受け取った時に「配達ご苦労様です」といった言葉を使うことがあります。
「ご苦労様です」は「苦労をかけてしまってすみません」という意味が含まれています。
「ご苦労様です」の使い方・誰が使う言葉?
「ご苦労様です」の由来
「ご苦労様です」は実は本来は「目下の者から目上の人」に対して使う挨拶でした。
日本語学者である飯間浩明氏の『遊ぶ日本語 不思議な日本語』では歌舞伎の『浄瑠璃』では、家来から主君に対しての挨拶として使われていると記述されています。
その他にも、言語学者の倉持益子氏の論文『「御苦労」系労い言葉の変遷』でも、18世紀の江戸の小咄(こばなし)を集めた話集『安永期 小咄本集(武藤禎夫 校注)』には、医者が目上である大家に対する挨拶として使われていたと述べています。
今の使い方になったのはいつごろ?
江戸時代の時までは目下の者が目上の人に対して使っていたはずの「ご苦労様です」は大正時代になると、現在のような使われ方をしていました。
この変化の理由には「軍隊」の影響があったという説があります。
大正時代以降には武士から軍人になり、その人数も増えていった時代で、この時徴兵された男子に対して「ご苦労様」と声をかけるようになったことが、一般市民にも広まったとされています。
今までの武家社会で使われてきた「大義であった」という言葉は時代遅れと感じられたことも、「ご苦労様」が反対の立場の人に使われるようになった要因とも考えられます。
さらに時代劇や時代小説などでも「ご苦労様」が同様の使われ方をするようになって、現在の使い方として定着しました。
この背景から、ビジネスシーンにおいても「御苦労」は目上の人が目下の者に対して使う言葉であることが分かります。
そのため、「ご苦労様です」は部下や後輩が上司・先輩に対して使うと失礼に当たるといわれています。
「ご苦労様です」の使用例
- (部下)「こちらの資料のご確認、よろしくお願いします」
(部長)「ご苦労様。あとで確認しておくよ」 - (部下)「お先に失礼いたします」
(部長)「はい。ご苦労様」 - (部下)「ただいま戻りました」
(部長)「暑い中、外回りご苦労様」
基本的に「ご苦労様です」は目上の人が使う言葉だと知っておけばOKです。
「お疲れ様です」の意味
- 相手の骨折りをねぎらっていう語
- 挨拶として用いる語
「お疲れ様です」もまた、相手への労いのために使う言葉です。
その他には、帰る時などに「お先に失礼します」の代わりとして「お疲れ様です」といった挨拶で使う場合もあります。
なお「お疲れ様です」は上下関係に関係なく使える言葉です。
例えば、同僚や気の知れた中に対しては「お疲れ~」とだけ言うことも多いでしょう。
そのため、目上の人に対して「お疲れ様です」と使ったとしても問題はありませんが、人によっては「お疲れ様です」は「ご苦労様です」と同義として受け取られることもあるので、相手によっては使わない方がいいことも。
この場合には「ありがとうございます」または「お世話になりました」といった別の言葉を使った方がいいでしょう。
「お疲れ様です」の使い方・誰が使う言葉?
先ほども紹介した通り、基本的に上下関係を気にしないで使ってもいい言葉ではありますが、立場によっては不適切な時もあるので要注意ではあります。
例えば内線電話に出る際に「お疲れ様です。営業部の◯◯です。△△さんはいらっしゃいますか」などと挨拶として使います。
メールでも冒頭の挨拶として「お疲れ様です」を使用できます。
社内の人には「お疲れ様です」で問題ありませんが、社外の人に対しては不適切になるので気をつけましょう。
その場合には「お世話になっております。」といった言葉にかえるなどが適切です。
「お疲れ様です」の使用例
(職場で先に帰るとき)
- お疲れ様です。お先に失礼いたします。
(仕事がひと段落したとき)
- ようやく終わりましたね。お疲れ様でした。
(メールや電話での挨拶)
- お疲れ様です。先日の件についてですが〜
(会議に出席してくれた人に対して)
- お疲れ様です。ここから資料をお取りください。
(退職する人に対して)
- 長年の勤務、今までお疲れ様でした。
(すれ違うとき)
- ◯◯さん、お疲れ様です!
社内の人に対して・ある程度気心が知れた間柄であれば使っても問題ないです。
目上の人に対しては基本的に「お世話になります」が適当でしょう。
「ご苦労様でございます」「お疲れ様でございます」はダメ?
「ご苦労様でございます」「お疲れ様でございます」といった表現は「~です」と「ございます」を使っているので「二重敬語になるのでは?」と思うかもしれません。
しかし名詞の「ご苦労様・お疲れ様」と助詞の「で」に丁寧語の「ございます」で構成されているので二重敬語にはなりません。
声に出すと少し違和感を覚えるかもしれませんが、文法上では問題ありません。
そのため、目上の人に対してねぎらいの気持ちを伝える際に使えるのでおすすめです。
上司や自社の役員に対して「お疲れ様でございます」なら使ってもOKなので、実践してみてください。
「ご苦労様です」の言い換え表現や似たフレーズ
ご苦労様ですのほかにも、相手を労う時に使える表現やフレーズを紹介します。
相手やシーンに合わせて使い分けてみてください。
「お先に失礼します」
他の社員よりも先に退社する時に使う挨拶として「お疲れ様です」があります。
これは目上の人に対してに使っていい言葉ではないので、言い換える必要があります。
その場合には「お先に失礼致します」と言い換えればOKです。
「ありがとうございます」
「ご苦労様です」は目上の立場の人が目下の人に対して使う労いの言葉なので、反対の立場から使うことは適切ではありません。
労いのほかに「感謝」を伝えることが目的なら「ありがとうございます」でもOKです。
感謝の言葉に言い換えることで失礼にあたりません。
「お疲れ様でございます」
先ほども紹介した通り、目下の人から目上の人に対して「ご苦労様です」は使ってはいけません。
もし目下のものから目上の人にあいさつをするなら「お疲れ様でございます」と使いましょう。
しかし、この挨拶は取引先の人やクライアント・社外の人にはNGです。
目上の人に使える表現だったとしてもあくまで「カジュアルな表現」であることには変わらないので、社外の人やオフィシャルなシーンでは失礼にあたることも。
社外の人やオフィシャルなシーンで使うのであれば「いつもありがとうございます」「いつもお世話になっております」が適切でしょう。
またクライアントが自社に訪れた場合には「御足労おかけいたしました」「御足労いただきありがとうございます」と挨拶するとスマートです。
この時の「御足労」とは相手がわざわざ自分のところまで足を運んできてくれたことに対する「感謝」の意味があるからです。
【立場・シーン別】相手への労いの言葉
相手への労いや感謝の気持ちを伝える時に、どうしても言葉ばかり意識が行きがちでなかなか思い浮かばないかもしれませんが、これから紹介するポイントに注目すれば、自然と労いの言葉が出てきます。
部下への労いの言葉:「過程」を評価する
自分の部下に対して労いの言葉をかけるのであれば、仕事の成果よりもまずは一生懸命に頑張ったという「過程」をまずは認めてあげましょう。
「部下には厳しく指導」と考えることも重要ですが、まずは一旦認めてあげてからでもOKです。
部下の仕事に対する苦労に感謝をする気持ちは上司であっても忘れてはいけません。
部下への労いの言葉の例は以下を参考にしてください。
- ご苦労様
- 努力しているね
- 君ならきっとできるよ
- よく頑張っているね
- 努力が実を結んだね
- 素晴らしい結果が出せたね
- 本当に助かっているよ
- いつもありがとう
上司の部下に対する労いの言葉は、モチベーションの維持にもつながるので円滑な関係を築くのにも重要です。
同僚への労いの言葉:気持ちの「共感」を伝える
労いの言葉というと、目上・目下といった立場が違う人に対して使うと思いがちですが、同僚へ伝えることも重要です。
特に同僚に対して労うの気持ちを伝える場合は「共感」に重きを置いた方がいいでしょう。
例えば、なかなかハードな案件で疲れている同僚に対して「お疲れ様です。応援してるけど、無理しないで」といった体調を気遣う言葉を伝えるのでもいいでしょう。
その他、同僚が自分に対して何かしてくれた・助けてくれた場合には「〇〇さんありがとう!本当に助かりました」と素直に感謝の言葉を伝えましょう。
以下は同僚を労う時に使ってほしい言葉の例です。
- お疲れさまです
- 頑張ってますね
- すごいですね
- さすがですね
- 無理しないでくださいね
- 大変でしたね
- 疲れたでしょう
- いつもありがとうございます
同僚を素直に認めて褒める言葉を伝えることで、共感してもらえたと相手にも伝わるので関係性が良くなります。
取引先や業者への労いの言葉:「感謝」の気持ちを伝える
取引先の人や業者の人といった社外の人への労いの言葉を伝える場合は、相手がしてくれたことに対して「感謝」の気持ちを伝えるのがいいでしょう。
いきなり案件の中身に入るのではなく、最初にワンクッション置くことで話もスムーズに入りやすくなるだけでなくスムーズな関係を築くことにも繋がります。
例えば日ごろの感謝を込めて「いつもありがとうございます」や「いつも〇〇様のおかげで助かっております」と表現してみるのもいいでしょう。
ただしあからさまな表現はかえって嫌味にとられてしまうこともあるので気を付けましょう。
あくまで正直に感謝の気持ちを伝える程度でOKです。
以下は取引先の人や業者の人に対して使う労いの言葉の一例です。
- いつもありがとうございます
- お世話になっております
- お力添えをいただき感謝しております
- ○○様のおかげです
- ○○様に助けられました
- ご配慮に感謝いたします
- いつも頼りにしております
まとめ
「ご苦労様です」の意味や使用シーンなどを紹介しました。
ご苦労様です・お疲れ様ですも両方とも相手の苦労や働きをねぎらうために使う言葉です。
しかし立場を間違って使うと失礼になってしまうことも。
正しい使い方を身に着けて、円滑なビジネス関係が築けるようになりましょう!
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