新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年4月に政府は緊急事態宣言を発令しました。今後も感染力の見通しをつけることは難しいとされています。
そんな中で、「WITH コロナ」と呼ばれる新たな時代が訪れようとしています。「WITH コロナ」とは、コロナウイルスと共に暮らしていくための新しいライフスタイルです。パチンコ業界でも、3密を避ける工夫やこまめな消毒を行い「WITH コロナ」実現のため、積極的に取り組まれています。
しかし、できる限りの感染予防対策を行なっていてもウイルスの動きは予測不可能です。2022 年に突入し、新たに第6波が目前に迫っています。そうなってくると、避けられないパチンコ業界への休業要請です。
同じように打撃を受けやすい、ホテル・観光・旅館事業では、休業要請にあわせた休業補助が手厚く行われています。
ではパチンコ業界へ休業要請が発令された場合、どのような補償が行われるのでしょうか。
本記事では、近年の業界傾向と共に、休業補償について詳しくご紹介いたします。
目次
パチンコ業界の仕組み
パチンコ・パチスロ業界とは
一般的に遊具業界と呼ばれているパチンコ・パチスロ業界。
遊技とは、ゲームや勝負事の勝ち負けにより景品があることを言います。
広く捉えることができるパチンコ・パチスロ業界ですが主に3つに分けられています。
業界内名称 | 内容 |
パチンコホール | パチンコやパチスロ機械を設置し、利用客に楽しんでもらう店舗営業。店舗運営、接客、遊技台の選定などを行う。 |
パチンコ遊技機・周辺メーカー | 店舗に設置される遊技機を開発、企画などを行う。利用客の動向を捉えつつも、国家公安委員会に定められた規定内での開発が求められる。 |
販売会社 | 遊技機メーカーが開発したパチンコ機やパチスロ機をパチンコホール店舗に販売する。基本的に、営業地域を限定した小規模会社。新機種の特徴を正確に捉え、ホール店舗に伝えることが重要。 |
この3つが絡み合い、パチンコ業界は動いています。
また今回、休業補償としてピックアップするのは「パチンコホール」の部分です。
業界収益の仕組みはどうなっている?
パチンコホールの利益構造
基本的にパチンコの場合「玉」、パチスロの場合「メダル」を利用客に貸出をしています。
利用客側は購入分の金額を払い、貸出の玉やメダルを受け取ります。これが「遊技料金」です。
遊技が終わったときに残っている、玉やメダル数に応じて景品と交換を行います。
パチンコホールの利益は、貸出の際に利用客が払う遊技料金から交換景品代を差し引いたものになるのです。
つまり、利用客の遊技の結果によってパチンコホール店側の収益が異なってきます。
もし、利用客側が購入した遊技料金分の玉やメダルを使い切り、遊技を終えた場合は、ホール店側の利益は遊技料金分になります。
このように、パチンコホールの利益構造は作られているのです。
パチンコ業界の待遇
パチンコ業界について、少し明確になってきましたね。
次は、業界で働く際の待遇についてご紹介していきます。
キャリアステップと年収
パチンコ業界は、一般社員の段階から年収が高いことが特徴です。若手の育成に力を入れている企業も多く、比較的早い段階で店長になることもあります。そのため、若いうちにバリバリ働きたい。あるいは、高い年収を得たいという人にはピッタリの業界です。
具体的な年収は以下の通りです。
キャリア | 業務内容 | 平均年収 |
一般社員 | 利用客の過ごしやすい環境を作り上げる。幅広い業務を担当。 | 350~500万 |
マネージャー | 経営資源の動向を把握し、全体の管理を行う。 | 500~740万 |
店長 | 店舗責任者として、店舗運営を行う。 | 810~1130万 |
エリアマネージャー | 経営の核となり、地域戦略を構想。 | 1100~1680万 |
営業部長 | 会社全体の動向を把握し、常に革新的な経営を行う。 | 1330~1960万 |
早い段階でキャリアアップできることや、給与面に期待ができるのは魅力的ですね。
勤務時間と休暇体制
ここでは、主にパチンコホール店における勤務時間と休暇体制についてご紹介します。
利用客のニーズに合わせ、夜間まで営業を行うパチンコホール店。
そのため、午前部(8:00~17:00)と午後部(16:00~24:00)に分けられます。
主にシフト体制で勤務時間が定められ、週ごとに午前部と午後部に振り分けられることが多いです。
また、地域で定められている条例によって営業時間には差があるので確認してみてくださいね。
次に気になる、休暇体制についてです。
基本的に、新台入荷前の定休日を除き、多くのパチンコ店舗は年中無休で営業しています。
そのため、一般的な企業で設けられている年末年始や大型連休での休暇は難しいと言われています。
もちろん、休暇が取れない訳ではありません。
業界全体として、月間6~8日の休暇取得が目安となっています。
土日は利用客が多いので難しいですが、平日あるいは土日のどちらか1日を休暇とする企業が多いようです。
さらに、企業によっては季節休暇や育児休暇、介護休暇。バースデー有給など積極的に有給取得推進を行なっています。
過酷な労働条件をイメージされがちなパチンコ業界ですが、働きやすい環境を積極的に整えていることがわかりますね。
その他の福利厚生
基本的な福利厚生に加え、パチンコ業界ならではの福利厚生も整えられています。
マルハン株式会社では、地元で働きたい社員に向けた「ホーム正社員」を設けています。
転居に伴った異動がなく、希望している店舗で働き続けることができるのです。
他にも、夜間まで営業をしているパチンコ店の特徴から社宅制度も導入されていたり、退職後に再度働きたいという人に向けた「カブバック採用」など多種多様な採用システムがあります。
社員それぞれの働きたい姿に対応する姿勢は業界の魅力とも言えますね。
気になる休業補償について
ここまで、業界の基本的情報をご紹介してきました。
それでは、いよいよ気になる休業補償についてです。
2020年4月 初の緊急事態宣言 各都府県遊協の対応
2020年4月に、初の緊急事態宣言が発令され8つの都府県が休業要請の対象となりました。それに伴い、各都府県はさまざまな方針を発表しました。実際に発表された方針を振り返ってみましょう。
対象都府県 | 休業要請期間 | 各都府県の対応 |
東京都 | 4月11日〜5月6日 | 1店舗の企業に50万円、2店舗以上の企業に100万円 |
千葉県 | 4月14日〜5月6日 | 最大30万円支給(売上が半分以上減少した中小企業に10万円、県内に事業所を1ヵ所借りている場合はさらに10万円、2ヵ所以上の事業所を借りている場合はさらに10万円) |
埼玉県 | 4月13日~5月6日 | - |
神奈川県 | 4月11日〜5月6日 | 協力金最大30万円(1店舗の企業に10万円、休業中に家賃の支払いがある場合はさらに10万円、左記の店舗が複数ある場合はさらに10万円) |
大阪府 | 4月14日〜5月6日 | 個人事業主に50万円、中小企業に100万円 |
兵庫県 | 4月15日~5月6日 | - |
福岡県 | 4月14日〜5月6日 | 福岡市は独自で家賃の8割(上限50万円)などを補助 |
愛知県 | 4月17日~5月6日 | 感染症対策協力金50万円支給 |
地域によって対策方針に違いはありますが、休業要請に伴った補償案が多く見受けられます。
緊急事態宣言後の政府支援策について
宣言解除後も政府は、休業や営業時間短縮における支援制度を設けています。
パチンコ・パチスロ産業界公益法人として発足されている「日本遊技関連事業協会」の公式ホームページでは、以下の制度活用が推進されています。
雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
雇用調整助成金は、事業の縮小を余儀なくされた企業における従業員の雇用維持を目的とした制度です。
また、雇用主が労働者を出向させることで雇用を維持しようとした場合も支給対象とされています。
項目 | 概要 | その他の条件など |
補助制度内容 | 事業主が労働者に対して、休業手当を支払う場合に一部を助成する制度 | |
助成率 大企業 | 解雇等を行わない雇用維持→4分の3
それ以外の場合→3分の2 |
判定基礎期間の初日が令和4年3月まで |
中小企業 | 解雇等を行わない雇用維持→4分の5
それ以外の場合→10分の9 |
判定基礎期間の初日が令和4年3月まで |
上記に該当する全企業 | 解雇等を行わない雇用維持→5分の4
それ以外の場合→10分の10 |
判定基礎期間の初日が令和4年3月まで |
助成金の上限 | 原則13500円(1日あたり) |
判定基礎期間初日 令和3年12月まで 大企業・中小企業に該当する全企業については15000円(1日あたり) |
原則11000円(1日あたり) | 判定基礎期間初日 令和4年1月〜2月
大企業・中小企業に該当する全企業については15000円(1日あたり) |
|
原則9000円(1日あたり) | 判定基礎期間初日 令和4年3月
大企業・中小企業に該当する全企業については15000円(1日あたり) |
コロナウイルスにおけるダメージを受けやすいパチンコ業界は、支給対象となる事業主の条件に含まれる可能性が高いです。
休業や事業の縮小が行われる中で、こうした制度を取り入れることで雇用維持する動きが高まっていることがわかります。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金では、時短営業により勤務時間の減少あるいは、シフトの日数が減少してしまった労働者に向けた支援金制度です。
一般的に、雇用維持を努める企業の申請がメインとされている制度です。
しかし、休業手当の支払いが困難な場合において従業員自身が直接申し込みを行い、国から受給することも可能です。
主な条件や支援金額の内容は以下の通りです。
項目 | 内容 | その他の条件 |
対象者 | 中小企業→令和3年4月1日から令和4年3月31日までに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主が休業させ、その休業に対する賃金(休業手当)を受け取っていない労働者
大企業→大企業に雇用されており、労働契約上の労働日が明確ではないシフト制労働者。令和3年4月1日から令和4年3月31日までに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主が休業させ、その休業に対する賃金(休業手当)を受け取っていない労働者 |
時短営業などで勤務時間が減少し、1日4時間未満の就労になった場合や月の一部分の休業。あるいは、日々雇用・シフト制雇用でも対象者となる |
支援金額 | 休業開始前賃金日額×80パーセント{(各月の休業期間日数)−(就労した日数+労働者側の事情で休んだ日数の合計)} | 休業前賃金日額×80%の上限額について
令和3年4月1日~令和3年4月30日まで 11000円 |
申請期限 | 令和4年3月31日 | 中小企業かつ休業した期間が令和3年4月〜12月 |
令和4年6月30日 | 中小企業かつ休業した期間が令和4年1月〜3月 | |
令和4年3月31日 | 大企業かつ休業した期間が令和3年4月〜12月 | |
令和4年6月30日 | 大企業かつ休業した期間が令和4年1月〜3月 |
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金は、時短要請を受け勤務時間に影響を受けた従業員に対する支援制度です。また、従業員自身が申し込むことができるのは重要なポイントですね。
パチンコ業界における休業補償について
コロナウイルス感染防止対策のため時短営業や休業により影響を受けた雇用主、労働者への休業補償についてご紹介しました。
いかがでしたでしょうか?
多くの利用客が集う、パチンコ業界は観光・ホテル業界同様にダメージを受けやすいです。
一方で、業界内で雇用を維持するための取り組みや、働きやすさ向上を目的とした動きが活発化になっています。
イメージダウンが多いパチンコ業界ですが、よく調査してみると一般的なイメージとは異なっていることがわかりますね。
業界に限らず、さまざまな補助金・助成金制度を理解しておくのは大切になっているのでチェックしてみてください。
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