身内・親戚に不幸があった際には、職場や学校に休むことを伝える必要があります。
このことを「忌引」といいますが、有給休暇といった法的に認めらる休暇ではなく、あくまで習慣として存在しています。
そのため日数や何親等まで認められるのかなどは会社や学校によって様々です。
ここでは忌引を取得する際に気を付けること・連絡マナー・日数などを解説していきます。
そもそも忌引って?
忌引の由来として、「忌」は「畏(おそ)れ忌(い)みはばかるもの」という意味で、神道における「死」に対する考え方です。
死とは「穢れ」であり、亡くなった人の近しい人はしばらく行動を慎むべきというのが「忌中」であり、その結果「忌引」はその期間、会社・学校には行かないという意味に繋がります。
「忌引」=休むという意味合い
先ほど紹介した通り、忌引には休むという意味合いがあります。
しかしどれくらいの期間休むかは地方・会社・時代によっても様々なです。
そもそも忌引という習慣自体、日本古来における神道の考え方に基づいているからです。
さらに法定休日ではないので何日くらい休めるのか・何親等までを「親族」として認めるのかは、あくまでその地域や組織の習慣や規約によって異なってしまいます。
そのため、忌引に関するルールは色々あるという事を念頭に置いておきましょう。
忌引と公休の違いとは
公休:土曜日・日曜日のこと
したがって、お店でいうところの「定休日」もこれに含まれており、学校や会社で定められている休みのことです。
必ず「何曜日に休みとしなければならない」というわけではありません。
ただし「忌引の日数に公休が含まれるか」といった疑問をよく耳にします。
例えば、忌引の期間が「3日間」設けられているとして、開始日が「金曜日」、そして土日は元々公休日というケースです。
この場合の忌引休暇は公休を除いた金・月・火の3日間が休みになるというわけではありません。
この場合は金・土・日となり、実質、会社を休むことになるのは金曜日の1日だけとなってしまいます。
これは忌引が法律で決められた休日である「有給休暇」とは異なる性質といえるでしょう。
忌引の日数
忌引の取得可能日数は会社や学校によって様々ではありますが、一般的な日数や期間はある程度定まっています。
しかし正確な条件などは規約・規定を確認することはいうまでもありません。
忌引の取得可能日数は間柄によっても異なる
忌引で休める期間というのは、親族の間柄である程度決まっています。
故人との関係性 | 一般的な忌引きの日数 |
---|---|
配偶者 | 10日間 |
実父母 | 7日間 |
子 | 5日間 |
兄弟姉妹 | 3日間 |
祖父母 | 3日間 |
配偶者の父母 | 3日間 |
配偶者の祖父母 | 1日間 |
配偶者の兄弟姉妹 | 1日間 |
孫 | 1日間 |
上記の日数はあくまで各会社や学校の規定や習慣によって決まっているので、目安程度に参考にしてください。
会社であれば「就業規則」、学校であれば「生徒手帳」に忌引日数に関するルールが記載されていることが多いのでチェックしましょう。
いとこが亡くなった場合
一般的に続柄が近い順に忌引休暇の日数は増えていきます。
そこで難しいのが「いとこ」の場合です。
基本的には先ほど紹介した2親等までが忌引休暇がとれる間柄となっています。
しかし「いとこ」は4親等の間柄です。
そのため、中には忌引休暇が認められないケースも存在します。
しかしいとことの関係性が深くお通夜・葬儀に出席したいという人もいるでしょう。
その場合には忌引休暇が取得可能かを上司・会社と相談をするのがベストです。
もし忌引休暇が認められない場合には、有給休暇を取得するという方法もあります。
亡くなった当日or翌日からカウントする
いつから忌引日数をカウントするかも、会社・学校によって異なるので、事前に確認するようにしましょう。
その上では土日・定休日といった元々あった休日を挟んだ場合はカウントするかも違うケースがあるので併せて確認するとトラブルになりにくいです。
忌引が公休と重なった時は?
忌引が公休日と重なってしまう場合には、会社や学校によってカウントの仕方が異なります。
公休に含まれる場合もありますが、含まれない場合も。
忌引という習慣はあくまで法律で定められているものではなく、有給休暇のように「労働者の権利」としての休暇ではないので注意!
週末・祝日などで忌引の取得期間が公休と重なった場合は、一般的に忌引による休暇ではないという考え方です。
忌引中は有給になる?
忌引きを取得しても、有給の日数がその分減るわけではありません。
「有給は労働基準法という法律で定められた休暇」ですから、忌引きを理由に減らすことはできないからです。
ただし、会社の規定による日数では足らない場合・亡くなった方との間柄によっては忌引そのものの取得が認められない場合もあります。
その場合は忌引にプラスして有給を取得するというケースもあります。
忌引休暇中に葬儀が終えられる?
葬儀に必要な日数は葬儀の種類によっても異なるだけでなく、地域・季節・最上・火葬場の予約状況によっても左右されます。
仮に1日でできる家族葬「一日葬」であっても、葬儀から火葬までを1日で行えても施設の混雑状況によっては葬儀全てが終わるまでに数日~1週間程度かかる可能性も考慮しましょう。
没日から葬儀までの日数は、首都圏においては平均で4~5日程度となっています。
お通夜の翌日に葬儀が執り行われればスムーズですが、中には1週間以上空くケースもあります。
忌引休暇の期間内に葬儀を行うために
仕事の都合なので、忌引休暇の期間内に葬儀を終えられなさそうな場合には、早く葬儀社に連絡をして火葬場・式場の予約をしてしまうのが良いです。
もし火葬場の予約がとれなければ葬儀を行うことができないからです。
1日でも早く行いたい場合には予約の取れる火葬場の近くにある式場を選ぶのも一つの手です。
なお土日祝は斎場・葬儀場が混雑しやすいので、可能であれば平日に予約をする手もあります。
関係者への連絡の仕方
社会人の場合
会社によっては「忌引休暇」が設けられている場合もあります。
そのため、連絡を入れる場合には初めに通常の有給とは異なる旨を伝えることがポイントになります。
また最初に連絡を入れるべき相手は「直属の上司」になります。
直属の上司が最初に知ることで、欠員による業務の遂行を考える必要があるからです。
業務に支障をきたさないためにも最も最適な相手といえるでしょう。
総務部への連絡の場合は、直属の上司に必要だといわれた場合に行うのがよいです。
何よりもまず最初に直属の上司に伝えることだけ間違えなければOKです。
その際には必ず口頭または電話による方法が確実です。
学生の場合
学生(小・中・高)であれば親が学校側に連絡を入れるのが一般的でしょう。
その場合には担当の先生に電話による連絡がベストです。
もし担当に連絡がつかないという場合には、学校の事務員の人に伝えるのでもOKです。
一般的には電話による連絡でOKですが、中には指定の用紙に必要事項を記入して申請をしたり、連絡帳で伝える必要があるケースも。
いずれにせよ忘れてはいけないのが、「何日間休めるか」という点です。
学生の場合は出席日数が進路・成績に影響を与えることもあるために、欠席扱いにならないように配慮しなければならないからです。
もし大学生の場合は本人が学生部に直接連絡を入れましょう。
連絡先が学生部出なかったとしても、どこに連絡を入れればいいか教えてくれます。
忌引を理由として休暇をとる時に気を付けること
できるだけ早く連絡をする
親族に不幸があり、会社や学校を休むことになった場合は、早く会社・学校に連絡をしましょう。
連絡手段は電話はメールでもOKです。
上司や先生との関係によってはSNSでもOKです。
特に電話では問題ありませんが、メール・SNSの場合には返信や何らかのレスポンスによって相手がそれを読んだかどうかの確認は忘れずにしましょう。
確実性とスピードに関して、電話が最もおすすめできる方法です。
さらに、電話で確認が取れたとしても、メールまたはSNSでもその旨を伝えておくことで、文章としても記録が残るのでトラブルが起きにくいです。
亡くなった方との間柄を伝える
連絡をする際には、亡くなった方と自分との間柄も必ず伝えましょう。
それは、間柄によって忌引休日をとれる日数が異なるからです。
また連絡する時間帯や相手の事情・状態によってはその場で規則などを調べて休暇の取得日数・いつ取得するかといった話に移ることも。
その場合には必要書類・いつまでに提出するべきかなどの指示を受けておくとスムーズでしょう。
就業規則や生徒手帳の確認
一般的には忌引休日に関するルールも就業規則や生徒手帳に記載されています。
特に就業規則の場合はすぐに確認できないことも多いので、事前に会社に行ける場合には申請前に就業規則を確認できると良いです。
申請書・欠席届といった書類の手続きの有無を確認
こちらも会社や学校によりますが、学校であれば欠席届・会社の場合は申請書を提出することが多いです。
学校の場合は「公欠(公認欠席)届」がそれに該当することが一般的です。
そこには先ほど紹介した通り、故人との間柄・葬儀の日時といった欄への記入が必要です。
なお会社の場合は証明書類の提出が必要になることがあります。
今までは葬儀の「会葬礼状」をもって書類としていましたが、最近は葬儀が小型化になったこともあって会葬礼状を作成しないことも増えました。
証明書提出に使われる書類は以下の通りです。
- 死亡診断書
- 火葬許可証
- 会葬礼状
- 訃報
死亡診断書
法的・医学的に人の死亡を証明する書類の事です。
医学的知見に基づく証明が必要で、医師だけがこの証明書を記入できるものです。
もし亡くなった方が入院をしていた場合は、担当医師が発行する書類です。
火葬許可証
亡くなった方のご遺体を火葬する許可を証明する書類の事です。
市区町村役場に「死亡届」と「火葬許可申請書」を提出した際に発行される書類です。
会葬礼状
葬儀の参列者に対してお礼の気持ちを伝える礼状のことです。
葬儀の受付時・香典返しといった返礼品と一緒に渡されるものです。
訃報
人の死を知らせるもの・連絡のことを訃報といいます。
地域の回覧板・新聞などで通知されることもありますが、主に電話・メールによって連絡します。
業務の引継ぎや取引先への連絡
社会人が忌引休暇を取得する場合には、業務の引継ぎや取引先への連絡を忘れてはいけません。
直属の上司や同僚など誰かがスムーズに引き継いでくれればベストですが、急な場合には難しい場合もあります。
すでにアポイントが会った場合は代理人を検討するなどで、取引先への連絡が怠らないように注意しましょう。
忌引明けの挨拶も忘れずに!
忌引休暇の後に初めて出社・登校をする場合は「忌引明けの挨拶」を行いましょう。
休暇取得をさせてもらえたことの感謝、葬儀をつつがなく執り行えたことなどの報告です。
会社の場合は「お香典」などをいただいているケースもあるので、「香典返し」をしたり、菓子折りをもっていくことがほとんどでしょう。
ただし会社からの香典の場合に香典返しは不要としているとこも多いです。
最近は個人からの香典であっても香典返しは不要という人もいるので、事前に確認しておけるとスムーズです。
遠方への移動にも注意
お通夜・葬儀会場が遠方の場合、移動時間も含めて休暇日数は考えることが重要です。
到着する際に半日以上かかる・公共交通機関があまり十分ではないところは移動だけでも時間がかかります。
遠方に向かう場合には移動時間も考慮して、お通夜の前日から移動をすることをスケジュールにいれると良いです。
さらに葬儀後に遠方から帰宅をして翌日出社という場合もスケジュールがタイトになるかもしれません。
そのため、遠方へ移動の際には通常の忌引休暇に移動日をプラスして日数をカウントしてくれる会社もあります。
そのため、遠方に移動しなければならない場合にも、その旨を直属の上司と相談をしましょう。
忌引をメールで連絡する場合の例文
突然の訃報なので、どんな文面で送ればいいか分からないという事も少なくありません。
ここでは一例を紹介するので、ぜひ覚えておいてください。
会社へ連絡する場合
件名:忌引き休暇取得のお願い
(上司名)
お疲れ様です、◯◯です。
母が本日死去し、忌引きを取得したくご連絡さしあげました。
故人:(故人名)
忌引き休暇期間:◯月◯日~◯日
葬儀日程:未定
休暇中のご連絡先は〇〇(電話番号など)になります。
葬儀など詳細が決まり次第、再度ご連絡さしあげます。
何卒よろしくお願いいたします。
(署名)
上司との関係にもよりますが、一般的にはビジネスメールの1つとして考えた書き方をした方が無難です。
学校に連絡する場合
件名:忌引きによる欠席のご連絡について
(担任名など)
◯年◯組の◯◯の母です。
母が本日死去し、下記の日数を忌引きにより欠席したくご連絡します。
故人:(故人名)
忌引き期間:◯月◯日~◯日
葬儀日程:未定
葬儀などの詳細が決まり次第、再度ご連絡します。
私あてにご連絡の際は〇〇(電話番号など)までご連絡ください。
よろしくお願いいたします。
(署名)
学校へ伝える場合も基本的には会社向けのと似ていますが、ビジネスメールほどかしこまる必要はありません。
まとめ
忌引に関する情報をお伝えしました。
忌引休日はそもそも法定休日ではなく、日本古来の習慣から存在している休暇のことです。
忌引休日で取得できる日数は故人の間柄によること、そして手続き方法などは会社や学校によっても異なります。
しかし一般的な日数や手続き方法などはありますが、目安として考えておくことが良いです。
正確な日数・手続きは就業規則や生徒手帳などで確認をしましょう。
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